天然皮革について
200万年前、私たちの祖先は食物を得るために狩猟を行いました。
狩猟で得た動物からは肉の他に骨や皮が残ります。
骨は武器や道具に、そして皮は寒さや衝撃から身を守るために利用されました。
しかし動物の皮はそのままでは利用できません。硬くて腐敗してしまいます。
そこで私たちの祖先は、鞣し(なめし)という技術を考えだしました。
腐敗などにより変化しやすい皮(Skin)を長持ちする革(Leather)に変えたのです。
漢字の「鞣」は「革」と「柔」とからできています。
硬い皮を柔らかくする事により革は様々な用途に利用されました。
200万年前の祖先の生活とともに受け継がれてきた「革」は、もとは生きた動物の皮です。
皆さんの肌をよく見てください。色や傷跡などまるっきり同じ皮膚を持つ人間はいません。
動物の皮も同じです。この世の中に2枚として同じ革は存在しません。
しかしながら動物の種類、技術などにより出来得る限り同じに近い革を開発してきました。
そんな革の良さや特徴を多くの人達に知っていただきたいと思います。
革の種類と特徴
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牛
- カーフ
- 生後6ヶ月以内の原皮を鞣しています。生後間もないため傷が少なく、きめ細かく上質な牛革です。
高級靴、冠婚葬祭用のバッグなどに使用されます。 - キップ
- 生後半年から一年以内の原皮を鞣しています。カーフより厚く強度があります。
主に高級靴、袋物、小物などに使用されます。 - ステア
- 生後半年以内に去勢され2年以上経過された雄の原皮を鞣しています。生産量も多く、使用頻度が一番多い革です。
靴、袋物、小物、衣料、家具などオールマイティに使用されます。
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羊
- ラム
- 生後1年以内の原皮を使用しています。薄くて柔らかいく手触りの良いのが特徴です。
靴や袋物の他に手袋、衣料などにも使用されます。 - シープ
- 生後1年以上の成羊の原皮を使用しています。薄くて柔らかいですが、ラムよりもサイズが大きいです。
靴や袋物の他に手袋、衣料などにも使用されます。
※ラムとシープの違いについては、諸説あります。 -
山羊
- キッド
- 生後6ヶ月くらいまでの原皮を鞣しています。
薄く軽くきめが細かいのが特徴です。高級靴などに使用されます。 - ゴート
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生後6ヶ月以上の原皮を鞣しています。表面の肌目に特徴があり強度もあるが柔らさもあります。
靴や袋物の他にベルトにも使用されます。
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豚
国内生産で唯一まかなえる原皮です。毛穴が大きいため通気性がよく靴、袋物、小物の内装に使用されます。
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鹿
ディアスキンと呼ばれ、ソフトで手触りが良く軽く柔らかく伸縮性が高いですが、銀面が弱く剥離しやすいデメリットもあります。主に靴や手袋などに使用されます。
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馬
肌目がきめ細かいですが、牛革のように厚みはありません。特にお尻の部分の繊維が細かく光沢が美しいので、コードバンと呼ばれ珍重されます。
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爬虫類
ワニ、トカゲ、蛇、亀、駝鳥(オーストリッチ)などを総称して爬虫類と呼びます。国内ではエキゾチックレザーと呼ばれ、独特の模様が特徴です。高級品として販売されています。
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その他
水牛、ラマ、ペッカリー、カンガルー、象、あざらし、サメ、エイ、サーモンなど。
なめし方法について
⽪から⾰へ。
なめし方法の種類とその特徴についてご紹介します。
動物の⽪はそのままだと硬くなったり腐敗したりします。
これらを防ぎ、⽪を柔軟にし耐久性を加え、⾰として利⽤するために必要な作業なのです。
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クロムなめし
クロム化合物を使用する鞣し方法です。タンニン鞣しに比べ低コスト、短時間で鞣すことができます。吸水性が少なくなるために水をはじきやすく、伸縮性、柔軟性、発色性、耐熱性が良いのが特徴です。現在の皮革製品の多くは、クロム鞣しの革が使われています。
- 商品名:
- レゴシュリンク
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- ⽜(ステア)
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タンニンなめし
草木に含まれるタンニン(渋)を使用し、紀元前から続いている鞣し方法で時間と手間がかかります。そのためクロム鞣しと比べてコストが高くなりますが、環境に対して比較的やさしい鞣し方法です。型崩れがしにくく吸湿性に富み染色しやすく、使えば使うほど使用感の「味」が出やすいのが特徴です。
- 商品名:
- Kワックス
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- ⽜(キップ)
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コンビネーションなめし
タンニン鞣しを組み合わせた鞣し方法です。混合鞣しとも呼ばれます。二つの鞣し方法の特徴を生かして行う方法で、適度な柔軟性を持たせながら伸縮性が少ないのが特徴です。
- 商品名:
- カレン
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- ⽜(ステア)
革の単位DS
1DS(デシ)とは、10cm×10cmの正方形の面積を表した単位です。革は本来、1枚単位で販売されますが、もともと動物の皮なので大きさや形が様々です。1枚の革をDS(デシ)という単位を使った面積で表示します。

革の加工方法
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銀付き
革の表面(銀面)を使用するため革本来の良さ、風合いが楽しめる加工方法です。
- 商品名:
- レイクシャイニー
- 原産国:
- バングラデシュ
- 種類:
- 牛(キップ)
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スエード
革の裏側をサンドペーパーなどで削り起毛させます。ヌバックより毛足が長いです。
- 商品名:
- キッドスエード
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- 山羊(キッド)
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ヌバック
革の表面(銀面)をサンドペーパーなどで削って手触りの良い起毛状に仕上げたものです。スエードに比べると起毛が非常に短くビロード状です。
- 商品名:
- Kヌバック
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- 牛(オーバーキップ)
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床(トコ)
皮の表面である上層部分(銀付き面)と裏面である下層部分を水平に分割したときの下層部分です。サンドペーパーなどで起毛させたものを床ベロアや床スエードと言います。
- 商品名:
- 床ベロア
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- 牛(キップ)
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エナメル
元来は、加熱したアマニ油を用いて塗装されていましたが、現在では厚く透明なポリウレタン塗装で光沢感と硬質感が特徴で、水分をはじきます。
- 商品名:
- ココメタル
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- 牛(キップ)
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型押
革の表面に凹凸模様を刻印した鉄板でプレスをして、色々な凹凸模様を表現できる加工方法です。
- 商品名:
- ペンタゴンR
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- 牛(キップ)
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シュリンク
薬品を使用して収縮させ、シボ(しわ)を強調し独特な風合いを出した加工方法です。
- 商品名:
- ギャバン
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- 牛(ステア)
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ガラス張
牛革を乾燥させる時にガラス板などを使用して銀面を滑らかにし樹脂などで仕上げる加工です。
- 商品名:
- カーフガラス
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- 牛(カーフ)
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箔
革の表面に金箔のようなものを貼る事で革本来の風合いと違ったものができます。箔の性質上、はがれることもあります。
- 商品名:
- ドルチェシャイン
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- 牛(ステア)
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プリント
転写プリント、インクジェット、シルクスクリーンなどのプリント方法があります。
- 商品名:
- フィジー
- 原産国:
- スペイン
- 種類:
- 羊(シープ)
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毛付き
脱毛処理をしないで染色をした革の加工方法です。部分的に、薬品で脱毛し、凹凸のある柄に仕上げているものもあります。
- 商品名:
- ポニーファッション
- 原産国:
- イタリア
- 種類:
- 牛(カーフ)
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パンチング
円形、三角、四角などの様々な形の穴を連続して開ける加工方法です。穴の大小、形、配列により様々な模様を表現します。
- 商品名:
- ウォルト
- 原産国:
- 日本
- 種類:
- 羊(ラム)
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メッシュ
テープ状に裁断した革を機織り機で反物にしたり、手芸のように編む加工方法です。
- 商品名:
- メッシュ1003
- 原産国:
- イタリア
- 種類:
- 牛
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カッティング
銀付き面に特殊機械で切り込みをいれ部分的にささくれた状態に見せる加工です。
- 商品名:
- レクシー
- 原産国:
- イタリア
- 種類:
- 山羊(ゴート)
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キルティング
革の裏面にスポンジなどを張り合わせミシンを掛けることで表面を盛り上げて立体感をだす加工です。ミシン目と糸の色により様々な模様も表現できます。
- 商品名:
- ラビオロソフト
- 原産国:
- イタリア
- 種類:
- 羊(ラム)
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パッチワーク
多種多様な革を縫製により組み合わせてオリジナルな模様を作ります。半端な部分も利用できるため革のロスは少ないですが、デザイン、縫製などに手間と時間がかかります。
- 商品名:
- サーモンパネル
- 原産国:
- ブラジル
- 種類:
- 鮭